ヨロンスズメダイ(新称)

長年、マニアなダイバーの間で「アイランドグレゴリー」と呼ばれていたクロソラスズメダイ属のスズメダイにようやく和名がついた。

ヨロンスズメダイ(新称)
Stegastes insularis Allen and Emery, 1985

このスズメダイは東インド洋のクリスマス島および日本の小笠原諸島・南鳥島で採取された標本に基づき1985年に新種記載され、その後、琉球列島の各地や伊豆諸島・八丈島、そしてここ屋久島などで広く見られるスズメダイであることは分かっていたのだが、日本で見られる魚類全種が掲載されているはずの「日本産魚類検索」にも載っておらず、標準和名もなかった。

しかし、僕もカメラ班として参加した今年4月の鹿児島大学「与論島魚類調査」で7個体が採取され、5日に発行された魚類学雑誌で「ヨロンスズメダイ」の標準和名が提唱された。

西山 肇・渡井幹雄・瀬能 宏・本村浩之.2012 (Nov.). 鹿児島県与論島から採集されたスズメダイ科魚類Stegastes insularisヨロンスズメダイ(新称)とその分布特性.魚類学雑誌,59 (2):155-162.

ヨロンスズメダイ成魚(撮影地・与論島)
ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:与論島)
ヨロンスズメダイ若魚(撮影地・与論島)
ヨロンスズメダイ若魚(撮影地:与論島)

クロソラスズメダイ属のスズメダイ全般に言えることなのだが、このスズメダイは非常に地味な魚でもあるので、普通種であるにも関わらず、認識していないダイバーも多いかもしれない。
しかし、難解な近似種の見分けが大好きなマニアなダイバー(笑)の間では15年以上前から「アイランドグレゴリー」と呼ばれていた有名な魚で、実は琉球列島では比較的、ごくごく普通に見られるスズメダイだ。
同属のセダカスズメダイやフチドリスズメダイ、アイスズメダイなどとよく似ているため、「見た事がない」というダイバーも多分、混同しているだけなのかもしれない。

ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイ若魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイ若魚(撮影地:屋久島)

ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)[/caption]屋久島でも当然、幼魚から成魚まで見られるスズメダイで、繁殖もしているようだ。
僕も10年近く前にこのアイランドグレゴリーを含むクロソラスズメダイ属の魚の水中での識別に燃えた時期もあった。(笑)

ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
当時は水中でうーん、うーん、唸りながら悩んだりしていたけど(笑)、今年4月、与論島で潜ってビックリした。
あれだけ悩んだアイランドグレゴリーがウジャウジャいて、当地でも普通に見られるセダカスズメダイやフチドリスズメダイとは遠目で見てもまったく違う似ても似つかないスズメダイだったのだ。

それは南に行けば行くほど明るい環境に合わせて多くの魚が白っぽくなる傾向があるのだが、アイランドグレゴリー(以後、ヨロンスズメダイ)もそうだった。
そのせいかヨロンスズメダイの特徴でもある尻ビレの黒い部分がクッキリしていて、もはやセダカスズメダイなどとはまったく似ていないスズメダイだったのだ。(・_・;

ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイ成魚(撮影地:屋久島)
ヨロンスズメダイは屋久島ではもっと濃い茶色のスズメダイで当然、尻ビレの黒い部分はこの濃い体色に紛れて与論島の個体ほどクッキリはしていない。
そして、同じような暗い体色のセダカスズメダイとソックリなのだ。

しかし、与論島では違った。
まったく違うスズメダイだったのだ。。。(・_・;
しかも、ウジャウジャいるし!!!

マニアなダイバーが識別に燃えるのは、その対象が難解だからだ。(笑)
だとすると、10年近く前、僕が与論島をホームグラウンドにして魚の観察をしていたら、きっとあれほどクロソラスズメダイ属のスズメダイ識別には燃えていなかったかも。。。(笑)

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