"Fishes of Yaku-shima Island"

これまでも散々、繰り返したけど、屋久島という島は”森”中心の島だ。
“森”は多くの学者さんが入り込んでいて、昔からかなり調査が進んでいるのに対し、”海”に関してはまったくだった。
その証拠に魚の図鑑などを見ると、分布が「奄美以南」とか「琉球列島以南」とされている魚のほとんどは屋久島にもいる。
しかも普通種として。。。
これは、これまで屋久島の海をフィールドにする研究者が少なく、ここの海が学術的にまったく手付かずの状態だったからだ。
つまり、この辺が未知の海域だったことが原因だ。
最近は少しづつ海の生物を研究する方たちの来島が増えてきていて、昨年も2回に渡って鹿児島大学を中心とするグループによる魚類層の調査&採取が行われた。
メンバーは鹿児島大学の本村さんを中心に、国立科学博物館の松浦さん、神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能さん、高知大学の遠藤さん、宮崎大学の岩槻さんなどなど。。。
このときの成果が早くも完成し、先日送られてきたのだが、思っていた以上に立派なものなのでちょっとビックリした。
“Fishes of Yaku-shima Island”
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これは屋久島の魚をテーマにした4つの論文と、屋久島産海水魚のチェックリスト、屋久島産淡水魚のチェックリストからなる書籍で、3つの論文ではヘビギンポ科で2種、カサゴ科で1種、日本初記録がそれぞれ報告されて標準和名の提唱がされた。
さらに、もうひとつの論文は屋久島のテンジクダイをまとめたもので、これは僕も共著者になっているのだが、実際は生態写真と屋久島での生息状況を提供しただけだったりする。。。(^^;)
中心になるのはやはり屋久島の魚類チェックリストで、これにも僕は共著者として参加している。
今回の屋久島調査で採取された魚と過去の文献に記されている魚を加えた約900種がリストされていて、そのほとんどは標本写真なのだが、適度に僕が生態写真を提供しており、しかもオールカラーなので特に学術的なことにも興味のない方でも見て楽しめる内容だと思う。(^^)。
この書籍は下記URLよりPDFで自由にダウンロードできる。
“Fishes of Yaku-shima Island”(PDF / 9.9MB)←注意!ちょっと重いです!
こうしてまとめられると学術的な文献として扱われ、今後は図鑑を作る際は多くの亜熱帯種で分布が「屋久島以南」と書き換えられるのではないだろうか。
ちなみに屋久島の魚はたった900種程度であるはずはなく(笑)、主に僕らダイバーが好んで見る水域の魚(-20m~-60mぐらいで見られる魚)が丸々欠けている。
これは研究者の調査フィールドがタイドプールなど、スキンでの潜水が可能な浅い水域がメインだからだ。
このチェックリストには載っていないが、実際は屋久島で見られ、僕が生態写真を撮っている魚だけでもあと200種はいると思われる。
ただ、通常の図鑑やこの手のリストでは必ずといっていいほど掲載種数が極端に少ないヘビギンポ科だけは、どういうわけか”Fishes of Yaku-shima Island”では超充実していたりする。。。
さて、それはナゼでしょう。。。?(笑)
追記:
この”Fishes of Yaku-shima Island”は海と川、合わせて951種が掲載されていて、374種が屋久島初記録、上記個別論文で和名が提唱されたヘビギンポ科で2種、カサゴ科で1種に加え、テンジクダイの論文中でテンジクダイ科で1種、チェックリストの中でイタチウオ科で1種、合計5種に標準和名が提唱された。
ページ数は264ページ。

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8件のコメント

  1. おめでとう御座います。
    早かったですね、完成が。
    綺麗に仕上がっていますが、製本化されたものは入手出来ないものでしょうか?
    鹿児島大学へ直接問い合わせるのが最良なのでしょうけど。
    改めて、出版されて良かったですね。

  2. > 早かったですね、完成が。
    ですよね~ほんと本村さんの仕事の速さには驚かされます。。。(・_・;
    > 綺麗に仕上がっていますが、製本化されたものは入手出来ないものでしょうか?
    > 鹿児島大学へ直接問い合わせるのが最良なのでしょうけど。
    僕も2冊しかもらえませんでした。。。(笑)
    なので、直接、本村さんに問い合わせてみて頂けませんか?
    申し訳ないです。。。

  3. ええ、印刷物が出ていれば問題ありません。何とか入手してみます。有難う御座いました。

  4. 今朝、鹿児島大学総合研究博物館より印刷されたものが届いていました。驚きました。本村さんのお陰でしょう。
    屋久島にはカサゴ、キチヌ、ヤマトイトヒキサギ、スズキは居ないのですね?

  5. > 今朝、鹿児島大学総合研究博物館より印刷されたものが届いていました。
    良かったですね~!
    あとどれくらい在庫があるんだろう?
    > 屋久島にはカサゴ、キチヌ、ヤマトイトヒキサギ、スズキは居ないのですね?
    いや、カサゴはいますよ。
    確か僕も写真は撮っていると思います。
    でも普通種ではないですねぇ。。。(笑)
    スズキは見たことがないです。
    ヒラスズキは最近、ようやく見れて写真も撮ったのですが。。。
    キチヌはまだ見たことがないです。
    クロダイは沢山いるのですが。。。
    河口は透明度が悪く見通せないので、よく探せばいてもおかしくないと思うのですが。。。
    ヤマトイトヒキサギという魚は初めて知りました。(笑)
    これはクロサギなどと同じ環境ですよね?
    セッパリサギならたまに見るのですが。。。
    いずれにしても、ブログでも言いましたように、このチェックリストには普通種でも載っていないものがまだまだ沢山あります。
    ここに載っていなくて僕が写真を持っているものだけでも200-300種はあるので、目視確認している種や稀種なんかも含めると1400種ぐらいになると思っています。
    本村さんとも、追ってすべての生態写真と標本写真で1000種を超える「屋久島魚図鑑」を出したいね。。。と話しています。(笑)

  6. 1400種類ですか、そいつは凄いです。図鑑に期待しましょう。
    やはりリストからカサゴ(Sebastiscus marmoratus)は抜けていますね。スズキが居ないとは驚きです。ヤマトイトヒキサギ(Gerres microphthalmus)は岩槻教授らが2002年に記載したもので、種子島から和歌山辺りまでだそうです。
    これは為になるリストです。本村さんからもメールが届きました。彼が親切にも送ってくれたのです。感涙!

  7. > やはりリストからカサゴ(Sebastiscus marmoratus)は抜けていますね。
    抜け落ちというか、そもそも屋久島では超稀な魚なので2-3回の調査来島では見つからないと思います。(笑)
    > ヤマトイトヒキサギ(Gerres microphthalmus)は岩槻教授らが2002年に記載したもので、
    > 種子島から和歌山辺りまでだそうです。
    種子島にいれば屋久島にもいそう。。。と思いたいところなのですが、このたった20kmの間には何かラインがあるのか、種子島では普通種なのに屋久島では超稀な魚というのが沢山います。
    代表的なのがトラウツボです。

  8. 極く稀な種類は含めていないという事には納得します。屋久島では1000種類は軽く超えるでしょうし。色々有難う御座いました。私も今後宮崎市内某所での観察を続行します。お互いに頑張りましょう。

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