暗い水中に最初の灯をともす妖精。

屋久島のクレナイイトヒキベラ
クレナイイトヒキベラ Cirrhilabrus katoi / 一湊 -30m

ベラ科に属する魚でイトヒキベラという魚がいる。
この仲間には日本産のものが10種いて、オスの求愛時の体色がとても美しいので一部のダイバーの間では根強い人気がある魚たちだ。
イトヒキベラの仲間は英名では「フェアリーラス(Fairy-wrasse)」と呼ばれている。
「Fairy(=妖精)」を充てたネーミングのセンスは素晴らしい。
確かにイトヒキベラの仲間は暗い水中に輝く妖精のような魚だ。
屋久島ではこのうち、極端に深い水深で見られるヤリイトヒキベラ以外の9種が-30m以浅の水深で見られ、ゴシキイトヒキベラ以外の8種は幼魚から成魚まですべてのステージが生息しており、時期になると活発な求愛や産卵行動が見られる普通種だ。
これらの多くは水温の上昇と共に求愛を始め、繁殖期に突入していくのだが、その先陣を切るのがクレナイイトヒキベラだ。
まだ水温も低い毎年4-5月になると-30m付近の斜面で紅(くれない)色に染まったオスがすべての鰭を広げて、メスの間を縫うようにして滑空し、求愛する姿が見られる。
やや水温の低い時期の方が活発なようで、水温の上がり際と下がった直後の頃、つまり春と秋が最も繁殖が盛んな時期だ。。
どうも、このイトヒキベラは温帯寄りの種類のようで、未だ活発ではない他の亜熱帯系のイトヒキベラたちを尻目に、こいつらだけが元気よく泳ぎ回っている。
実際、屋久島よりも南に下ると、この魚は極端に少なくなる。
クレナイイトヒキベラの存在は、屋久島近海の海が南西諸島の一角を占めるとは言え、まだまだ温帯色が強い事を明示している。
完全に黒潮が接岸していないこの時期の屋久島の-30m付近はまだ暗く寂しい。
そんな水中に最初に灯をともし、派手に演出してくれるのがこのクレナイイトヒキベラという美しい妖精だ。

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14件のコメント

  1. 素晴らしいです。
    未だ見つけきれておりませんで
    とても見たい種のひとつです。
    クジャクはたくさんいるんだけどなぁ。
    クジャクも今夕方ビンビンやってますけど。

  2. 前に屋久島以南では沖縄本島の本部で成魚が見られたとゆうすけさんから聞いたことがあります。
    この文を書くに当たって、ちょっとネットで調べたら慶良間で撮影された若魚ステージの子の写真がありました。
    (ご存知かもしれませんが。。。)

    http://www.izuzuki.com/Zukan/Fish/bera/kurenaiIBR.html
    どこかに婚姻色バリバリの成魚がいるかもしれませんね~!
    頑張ってくださ~い♪
    でも、僕的にはあまり屋久島以南でクレナイが見つかってほしくないのだけど。。。屋久島でのトピックス性が薄くなるので。。。(笑)

  3. 背鰭の向こう側に見えるのは何者ですか?

  4. あっ。。。バレました??(^^;;
    文の内容から、この写真が激しく求愛中のオスを撮ったどー!的な感覚を読者に持たせてしまってますが、正確にはこのクレナイ。。。ホンソメのクリーニングを受けてまーす!(^^)
    本当に求愛中のオスであることは間違いないのですが、この写真自体は求愛中、一時的にホンソメのクリーニングステーションにピットインして休んでいるオスを撮ったものです。。。(笑)
    スグにまた求愛前線に舞い戻っていきましたが。。。

  5. ありがとうございます!
    他にも横位置・黒バックで全鰭が全開のクレナイ写真もあるので、必要でした言って下されば提供しますよ。

  6. しげるさん、田中さんまいど~♪
    お~!すげぇ~!!!
    クレナイの背鰭に、ネオンごビー?が(まさか)クリーニングしてはりますやん!
    まるで水槽眺めてるシーンみたいですわ(^.^)
    しかり、このクレナイ!立派な成魚ですね。
    しげるさん、次回までキープお願いしま~すヽ(^。^)ノ
    ◆田中さん
    こんなナチュラルな絵は、大好物では?(^.^)
    すごいですよね~♪
    田中さんが興味あるのも分かります(^^)

  7. kazuさん、ご無沙汰しております!
    今年はクレナイが少なくて驚いています。
    年々、屋久島は亜熱帯色の方が濃くなっていて、魚類層にも変化の兆しが出ています。。。
    kazuさんが来られる頃にはクレナイが復活してくれると良いのですが。。。(^^;;

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